2014年7月1日火曜日

戦争が廊下の奥に立つてゐた

戦争が廊下の奥に立つてゐた
           渡辺白泉

当たり前の日常のなかで
戦争が目撃されるようになったことに
気づいた時には
もう
戦争が始まっていた

私たちは
学校では戦争の仕方を習わなかったから
知っている人に頼らざるをえない

人の命はとても重いと
世の中は私を教育してきたので
私は安心して
そんなに重いとは思えないと
思うこともできた

ほら
やっぱりそうだった
友だちの顔を見ると
戦火にもう赤く照らされている
そういう私も
重い鉄の塊をもって
途方もなく疲れているようだ

小さな子どもたちが
大人に何かを訊ねているが
けむにまくしかないようだ

あの俳句

聴いたあの俳句を読む声が
また再生される

戦争が廊下の奥に立つてゐた

私も
その廊下に立っているのです

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